長らくネタを引っ張ってきましたが(汗笑)、樋口版「日本沈没」も、いよいよもって本日公開。
ネットでの事前席予約にて準備万端にし、初日に早速見てきました。

というわけで、以下、盛大にネタバレ含みにて………

えーと、まず、ぶっちゃけた話……
というか、2ちゃんねる SF板 小松左京スレにまで載っていた試写会組によるネタバレどおりだったのですが………

今回の映画、日本沈没しません(大汗)

正確にいうと、地震、噴火、津波等々の災害で国土のほとんどは壊滅状態、沈降もけっこう進みはする(完全に水没した大阪のシーンは、予告編どおり、あり)のですが……
とはいえ、田所博士が立案し、結城・小野寺による捨て身の奮闘で遂行できた最終作戦により、日本の沈没は途中で停止し、国土もいくぶんかは残るとともに、国外へ退去しきれずに逃げ遅れた人々も生き残る……というオチ。

なんじゃい、そりゃあ……と、まずは思いますわな。
原作小説を読み、1973年版の映画とテレビシリーズを見て、ついでに、さいとうプロ版の漫画も読んだ身としては。
でもって、たぶん……これまで「日本沈没」という作品に触れたことはなく、それでも「『日本沈没』って、日本が沈んでしまう話でしょ?」という認識を持たれている多くの方々は。

たしかに斬新であり、野心的ではあるのだけど……
でもいいの?ほんとにそれで??

……というのが、2ちゃんでネタバレ見てしまったときの私の心境でした。

けれど、そのあと、あれこれ考えて……
でもって、実際に映画を見てみて行き着いた心境が、「これはこれで、あり」

愚直なリメイクをやらないのであれば、そりゃオレ流「日本沈没」になるのだろうし……
「日本沈没」を愛しているからこそ、他人から否定的に思われるリスクも覚悟のうえで、自分のスピリッツをぶつけまくる。
結果、「奇跡は起きます!起こしてみせます!!」だったり、N2爆薬(本当に出てくる)は、やっぱりすげーやだったりとガイナ魂全開、そして原作改変っぷりが制作: GONZO?……な雰囲気。
富野由悠季監督も福井晴敏も庵野夫妻も、当然のごとく出てきますよ。
まさに樋口ワールド(笑)

つか、平行宇宙だと考えればよいかも……とも思った。
日本が沈没する世界も、日本が沈没しない世界もあるのだとすれば、日本が沈没しかかって、すんでのところで回避される世界も、またありではないかと。
「果しなき流れの果に」を読めばわかる(汗笑)

まあ、問題は……
「日本沈没」の愚直なリメイクであるかのような基本線で宣伝されてしまっていることと、原作&1973年版の映画で育った人間は(私も含めて)愚直なリメイクを心のどこかで求めている……ということではないかなと。

でも、あれですよ……
この樋口監督版「日本沈没」にせよ、ようやく刊行された原作の続編「日本沈没 第二部」にせよ、かわぐちかいじ「太陽の黙示録」にせよ……
日本を沈めるということよりも、日本が沈んでしまったあとの世界で、どうやっていくべきかを模索する。
そもそも、そういう時代だということではないですかね。

ちなみに、この映画……盛り上がるまでに時間がかかります(汗)
1973年版での東京大震災にあたる中盤での大規模イベントがないというのと、前半でのドラマ性の薄さが………
なんだか、総理大臣役の石坂浩二が一人がんばっているように見えて、気の毒だ(大汗)

しかし、そこで投げ出さずに粘り腰で見ていれば、後半でじわじわと、いい感じでこみあげてくるものがありますよ。
前半でなにげに仕込んであって、後半に効果を発揮する仕掛けも、いくつかありますし。
格納庫に展示されている旧式の「わだつみ2000」(つーか、まんま「しんかい2000」なのですが・笑)が、まさか役に立つとは予想だにしなかった。
「フランスあたりからケルマディックあたりを持ってくるべきなんじゃね?」というツッコミも、ひとまずはおいておいて(汗笑)

クライマックス直前……小野寺のモノローグから、「奇跡は起きます!〜」を経て、最後の作戦に挑むまでのくだりは、素直に泣きました。かなり泣けました。
「奇跡は起きます!〜」は予告編で見るだけだと、ただのネタなんですが……
そういうネタ性をキッチリとドラマの流れの中で昇華できるのは、見事なテクニックだと思う。

あと、最近の流れというか流行というか、今回も自衛隊が協力しまくりで、実際の車両・機体・装備が登場しまくりなのだけど……
最後の最後で、山道に孤立し取り残された避難者を救難ヘリコプター UH-60Jで救出に来るあたりは、「よみがえる空」がけっこう好きで、DVD 第1巻 特典映像の能登麻美子による小松基地訪問映像まで、ちゃんと見た身としては、嬉しいものがあったですよ。

いや、ヘリから救出に降りてくるのが自衛隊レスキュー部隊ではなく、東京消防庁のハイパーレスキューだったりするのですが(汗笑)、あそこまでいけば、そんなの全然ありな状況になっているので。

この映画、ほかの方に勧められるかというと、自信ない……というか、この映画で初めて「日本沈没」に触れたという方に、原作か1973年版の映画にも触れてください。アンサームービーというのは、結局のところ、オリジナルあってのものですから……と、お願いするのを優先したいくらいのものだったりしますが………

私個人としては、けっこう気に入っています。
あと1回くらいは、劇場にも見に行きたいかも。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
監督:森谷司郎


 

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